2010年12月 6日

ハイパワーでのQSOは今風ではない

昔からアマチュア無線では珍しい局との交信を望む人が多く、無理をしてパワーを入れた送信機により競勝ちでのQSOをやる人がある。局免許で許可された以上のパワーを入れるのはもちろん違反行為であるが、それよりも終わってからの周囲からの眼は必ずしも好意的ではないはずである。近所にスプラッター(妨害電波)を撒き散らしても、それは本人だけの自己満足で終わる。

最近では、車社会にも環境を見直す意識が浸透して、皆さんがハイブリッド車や電気自動車を欲しがる時代がやって来た。各社が来年度にも電気自動車を販売する計画らしく、世の中益々クリーン化と省エネ化が進む。そんな中、アマチュア無線ばかりがいつまでも大きなエネルギを消費するのは如何なものかと思う。

そこで、アマチュア無線の無線工学で出てくるSWRを真剣に考えてみたい。
そもそもSWRに力を注いでおられるアマチュア局は意外と少なく、いざ相手局を見つけるとSWRにお構いなく呼んでしまうケースが少なくない。
小さなパワーで交信を楽しむことをQRPと呼ぶが、最近このQRPを意識したアマチュア局がどんどん増えている。もちろんCW(モールス信号を使う)による交信人気もこの現れである。アマチュア無線の醍醐味は、いかにして与えられたパワーを効率良く生かしながらアンテナに送り込むかの技術とも言われる。この事に徹すれば別の意味での面白味が味わえるばかりか、環境問題もクリア出来て一石二鳥なのである。

SWRとは定在波比のことを意味するが、実際には電圧からVSWRを使用しているので普通次の式が使われる。

特性インピーダンスが Z0 の伝送線路の両端に信号源と 負荷インピーダンスZ の負荷が接続されている場合を考える。このとき、負荷側の電圧定在波比VSWRは次の式で表される。

VSWR=\frac{1+|\rho |}{1-|\rho |}

\rho = \frac{Z-Z_0}{Z+Z_0}=\frac{V_2}{V_1}

ここで、V1は進行波の振幅電圧、V2は反射波の振幅電圧、ρは電圧反射係数である。 伝送線路の特性インピーダンスと負荷インピーダンスが一致した場合、すなわち Z0 = Z でVSWR=1となる。

難しいようであるが実際には便利な測定器を使用することで直接のVSWRを眼で確かめながら運用できるので、QSOではぜひ使いたいものである。


SWR計.jpg

米国ヒースキット社SWR計   所有:TOMIOKA Takumi

この写真は、米国ヒースキット社から当時発売されていたキット製品である。簡単な構造なのでキット組み立てにもあまり時間がかからなかった。(1981年ごろ)