ヒースキットの魅力
所有:TOMIOKA Takumi
1981年ヒースキット社のカタログ
昭和52年(1977年)頃に組立てた無線機のキットの話しです。このメーカーの販売思想には最近の多くのメーカーが見習うべきことが沢山あります。
そもそもヒースキット社が設立されたのは1926年米国です。世界中がインフレと経済不安におののいていた頃でした。創立者であるエドワード・ヒースさんは自らの飛行経験と航空技術を駆使して世界で最初のキットによる単発飛行機を199ドルで売り出しました。彼はこのキットに「PARASOL」という名前を付けました。その後の1931年には新しい飛行機キットを売り出すために自ら試験中に不幸にも事故となり死亡してしまったのです。世界中の多くの人達にキット商品を愛用して頂くという彼の強い信念はその後若い技術者により受け継がれたわけです。若き技術者ハワード・アンソニーさんはすばらしい洞察力の持ち主であり、第2次世界大戦後にあり余った電気部品を買い集め、何とメールオーダーによるキット販売を開始したのでした。最初に販売したのはオシロスコープですが39ドル50セントという価格は信じられないほど安かったのです。
戦争により自分の趣味を楽しむ余裕がなくなっていた多くの人々には絶好の品物だったわけで、すぐに爆発的な人気となりました。しかも性能が良ったので多くのキットファンが生まれました。
その後も、アンソニーさんは次々と新しいキットを販売しました。「必要な部品と適切なマニュアルがあれば誰でも性能の良いものが出来る」というヒース社の信念が人気の秘密だと思います。
この説明書は、マイクロフォンを組立てた時のものですが、品物は米国エレクトロボイスです。細部にわたり判り易い図解入りであり半田こて経験がある人ならだれでも性能の良いものが出来上がったわけです。
このときに私は始めてエレクトロボイス社があることを知りました。最近では知らない人がいないほどですが。
アマチュア無線機器での種類も豊富で、日本でも昭和52年ごろソニーが販売を開始しました。私もこの頃製作に熱中したものがあり徐々に紹介したいと思います。